個人再生のハードルである履行可能テストって何?

個人再生では認可が下りた後に、再生計画に則った弁済をしていくことになります。

そこで、各裁判所では、債務者が弁済を続けていけるかをテストする期間を設けており、再生計画案の認可要件としています。

この記事では、履行可能性テストとは、履行可能性テストの具体的な内容、運用期間はどれくらいか、滞納してしまった場合は、について解説していきます。

履行可能性テストとは

履行可能性テストとは、個人再生手続きを申立てた人が実際に返済できるのかを判断するテストのことで、主に東京地方裁判所で行われます。

再生計画案認可の可否に大きな影響を与えるとても重要なものです。

個人再生には、小規模個人再生と給与所得者個人再生の2種類がありますが、どちらも債務者が継続した収入を得ながら弁済を続けていけるかが、裁判所から再生案の認可を受けるために重要になります。

そのため、小規模個人再生でも給与所得者個人再生のどちらでも履行可能性テストが運用されます。

履行可能性テストの具体的な内容

再生計画に沿って指定された口座に一定期間お金を支払う手続きで、東京地裁裁判所で実施されることが多く、実施している裁判所は多くありません。

また、東京地方裁判所では他の裁判所とは違う独自の方法を用いてテストをおこないます。

東京地方裁判所

全ての個人再生の申立に個人再生委員を選任し、履行可能性テストを行う。

債務者が一定期間、個人再生委員が指定した金融機関の口座に申立書に記載した弁済額を振り込む。

裁判所は、個人再生委員からテストの結果について報告を受け、債務者が再生計画に沿った弁済を遂行できるかどうかを検討します。

テストで支払った金額が個人再生委員の報酬15万円を差し引いた上で債務者に返還されると、テストは終了です。

大阪地方裁判所やその他一部の地方裁判所

個人再生委員は選任されず積立金制度が用いられています。

東京地方裁判所でのやり方とは違い、積立金から何かの費用が差し引かれることはなく、積み立てた金額は全額債務者の手元に残り、債権者への返済に充てることが可能です。

履行テストで支払うことになる金額は、作成する再生計画案によって異なり、自身の経済状況や抱えている借金の金額によって変わります。

履行可能性テストの運用期間

履行可能性テストは、個人再生の手続き開始から認可が下りるまでの期間に行われます。

個人再生手続きの開始後、再生計画案の確認や債権調査などが進められますが、これらと同時に履行可能性テストも進みます。

実施期間は個人再生手続次第ですが、概ね6ヶ月程度です。

履行テストを行っている最中に、申立人に十分な弁済能力があると裁判所が判断した場合は、早期にテスト終了となることもあります。

支払いを滞納してしまった場合は

履行テストの途中で支払を滞納してしまった場合、個人再生委員にこの申立人は債務の弁済能力がない、再生計画に無理があるなどの判断をされてしまう可能性があり、個人再生開始決定がされなかったり、再生計画が認可されないという場合があります。

こうなってしまうと、個人再生の借金の減額を享受できなくなってしまいますので、滞納しないようにしましょう。

まとめ

個人再生を認可してもらうために、支払い続けられる金額を計画案を練ることがとても重要です。

不安なことや分からないことがある場合は、弁護士等の専門家に相談しましょう。